「そんなにあなたは機械になりたいの?」今求められている “集中力” の正体とは【大竹稽】
大竹稽「脱力の哲学」2
◾️「ミスったらアウト!」という状況で集中するあなたの精神状態とは
「ミスったらアウト!」という集中状態は、「闘争・攻撃・防御・警戒」によって成り立っていると言えるでしょう。
いっぽうで、「センス・オブ・ワンダー」の真骨頂は、遊びにおける集中。福岡先生の考察を借りれば、「友好・探検・好奇心」の集中です。
子どもたちは大人のまねをしながら成長していきます。しかし今や、子どもの方が、わたしたち大人のお手本となるはずです。いや、先生といっても過言ではありません。もし、「世界との触れ合い」を感じたいのなら、子どもと一緒に自然の中で過ごしてみませんか。子どもは遊びます。「なんでこんな危ないことを!」なんて、親がびっくりすることもありますが、不安や危険に臆しません。そして、なにもなくても、子どもたちは無心に楽しんでいます。
遊びに飛び込む前に、遊びの目的(そんなものはないのですが)を確認し、不安や危険がないように準備万端整える。しかし、いざ本番となると体が強張り、まったく楽しめなくなってしまう。これがわたしたち大人なのかもしれません。
レイチェル・カーソンの次のフレーズは、詩的で、感動的です。まずは原文そのまま、引用しますね。
《A child’s world is fresh and new and beautiful, full of wonder and excitement.》
平易な単語で綴られていますが、リズミカルで、慌ただしさから離れて自然に身を置けば、思わずこのフレーズが口をついて出てきそうです。
『センス・オブ・ワンダー』は、上遠恵子さんによって日本語訳され新潮社から出されています。訳文も紹介しましょう。
「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚くと感激にみちあふれています」
さて、この一文の続きも紹介しましょう。
「残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます」
わたし自身、娘を持つ親です。仕事柄、子どもたちと接する機会が多いことは確かです。子どもの感性に触れられ続けているのはありがたいのですが、それだけ、自分自身の洞察力や直感力が鈍ってしまっていることを実感しています。だからこそ、わたしもあなたも、「友好・探検・好奇心」の集中を取り戻す環境に積極的に身を置きたいですね。そして、「子どもといっしょに学び直し」てみませんか?
わたしたちの感じ方で、世界は変わります。もし世界が退屈なら、それは自分自身の感覚が鈍っている証拠です。
そもそも、「世界はワンダフル」なのです。
「子どもといっしょに自然を探検することは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性にみがきをかけるということです。
《Exploring nature with your child is largely a matter of becoming receptive to what lies all aroud you.》
それは、しばらくつかっていなかった感覚の回路をひらくこと。つまり、あなたの目、耳、鼻、指先のつかいかたをもう一度学び直すことなのです。
文:大竹稽